前回につづき、今回は相続手続について考察していきましょう。
(ここでいう相続に遺言は含まれていません。遺言は他の記事でお話したいと思います。)
トップページにて、「司法書士完全攻略」というネット集客に必要な基礎知識を完全解説しております。
是非、ご覧ください。

Table of Contents
需要 -◯
これから20年~30年は、需要は相続の需要がピークとなっていきます。
国が公開しているデータをみると令和元年の日本の死亡数は140万人。直近20年で1.5倍になっていました。人口ピークは今の40代なので、これから30年は毎年同様の人数が亡くなっていくと考えられます。
自分の地域ではどれくらい亡くなっているのか?は地域を統括している役所で公開されてます。140万を1億2千万で割って、自分の図りたい地域の人口で割ってみても計算できると思います。
よほど人数の少ない地域でなければ、個人事務所が相続手続の10%のシェアを獲得することで、上場企業平均年収ランキングの上位をぶっちぎれるほどの収益をあげることが可能です。
もちろん、全員が全員相続手続きを必要とするわけではありません。しかし、年間の会社設立件数が12万件ということを考えれば、140万という数字の数十%は大きいと思います。
単価-◯
単価は高いです。戸籍の取得などの作業がとにかく多いからです。
また、うちはやっていないのですが基本報酬を相続財産の数%に設定されている方もいますし、〇〇パックのような形で独自の値段設定をされている先生もいます。
相続金額も、人によっては数千万から数億円になる場合もあり、そのうちの数十万や数百万ということで貰いやすい、という点もポイントかもしれません。
相続には相続登記以外にいろいろな手続が必要になりますので、お客様の立場に立ってどんなサービスが喜ばれるのか?を考えることでいろいろなサービスや単価設定を行うことができます。
単価やサービス、それに伴う顧客満足度に関しては、司法書士の先生ごとに大きく違うのが相続の特徴かと思います。うちもこの半年でいろいろなサービスや単価調整をしてきて、お客様の満足度もかなり上がってきましたし、顧客平均単価も上がってきています。
ポイントは「選択肢として用意してあげる」ことです。「訪問相談サービス30分1万円」をメニューにいれた場合、足腰が悪いけどお金には余裕がある人にとっては嬉しいサービスでしょう。本人確認のために司法書士がきてくれて、自宅にいながら相続手続きがほぼ完了するならありがたい限りです。
しつこい営業をかけたり強制することと、選択肢がたくさんあることは全くべつものです。この考えが単価をあげるために大切なことだと思います。
優位性-◯
資産の代表である不動産の相続登記を独占できるので、優位性が非常に高いです。
争いがある相続は弁護士、争いのない相続は司法書士と市場が分かれているのも良いですね。
商業登記のように司法書士以外が相続を取っている場合もあります。その代表が銀行だと思いますが、司法書士を必ず挟みます。司法書士の報酬に銀行の利益も上乗せするために、銀行の値段設定は司法書士が直接依頼される場合の値段設定のほぼ倍なので、司法書士にとっては非常に優位なのです。
本来であれば、資本力のある大手企業は資本力と規模で勝負をするので、松屋や吉野家のように低単価で勝負をしてきます。個人は高級牛丼のように独自性をもって高価格帯で勝負するのが一般的な業界です。
しかし、相続は手続きなので誰がやっても同じです。加えて登記の代行業は司法書士を通さなければいけないので、構造上、司法書士より銀行が安くすることはできません。
法規制によって、絶対的な優位性を手に入れることができています。
ただし、1つ懸念点があります。相続登記のトータルサポートWEBサービスの存在です。
”あくまで自身が申請するという認識のもと、相続登記に必要な手続きをサポート”するサービスです。単に申請書を自動で作成するサービスなら良いですが、戸籍の取得代行や電話サポートもやっているみたいです。あくまで”ホームページを見た個人の感想”ですが、初めての相続でも安心して相続登記まで完了させられる印象を受けました。
これが適法か?違法か?は裁判所が判断することですし、そもそも司法書士会が問題と思っているか?は私の知るところではないので、是非については話しません。ちなみに「リーガルテックと弁護士法第72条」で検索してみると分かるのですが、弁護士でも同じような議論が巻き起こっているみたいです。
お伝えしたいことは、これが問題ないのであれば相続に関する司法書士の優位性は完全に無くなります。
というか本人確認をしなくてもいいので、完全に上位互換のサービスです。つまり、司法書士が相続案件を獲得する優位性が✕になる可能性がある、ということを覚えておいてください。
難易度-◯
獲得の難易度は低めです。
相続は鍵屋や水道修理と同じく、正常な日常に戻すために必要な手続きなので、購入することに理由付けはいりません。これと反対の位置づけにある司法書士の商品が遺言や家族信託です。遺言はしなくても本人は困りません。なぜ、遺言を残すことが必要なのか?という教育から必要になります。
相談に来た人の受注率も非常に良いです。
相続手続きの相談にきてやっぱりやめるというお客様は少数派です。遺言に関しては、遺留分や税金の問題から遺言をやめるお客様もそれなりにいるわけです。
セミナーやメルマガなども絡めたセールスが必要となる遺言と比べると、相続手続きの獲得は簡単な部類と言えます。
まとめ
相続は4つの項目で全て◯という、ネット集客に向いている事がわかりました。
特に法規制による優位性はかなり強いです。
その反面、法の解釈によっては一瞬にして優位性が無くなってしまう危険性もあります。
この危険性がある以上は、事務所を相続のみにしていく、というのは怖いですね…。
「決済業務などで基盤を安定しつつ、ネット集客では相続業務をメインに利益を底上げする。」このような2本の柱で進めていくのが、無難かと思われます。